藤田 和日郎サイン色紙

入手時期 | 2008 年 6 月 21 日 |
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入手経緯 | 有隣堂横浜駅西口店コミック王国のサイン会 |
イラスト | 藤田 和日郎「からくりの君」文渡 蘭菊姫 |
有隣堂横浜駅西口店コミック王国のサイン会告知ポスターを見て、整理券入手しました(整理券は電話予約のみで、平日にも関わらず開店 30 分で予定枚数 100 枚を終了したそうです)。
当日の会場には色紙が用意してあり、ファンが注文したキャラクターを描いていました。
「月光条例」第 1 巻(小学館)発売記念サイン会なのに、「(藤田さんのキャラクターであれば)脇役でも連載終了したものでも読切でも他社作品でも可」と至れり尽くせりでした。
更には、サインするペンを休めてファンと話をすることが多く、記念撮影にも応じ、サインの前には「お待たせしてすみません」/後には「握手しましょう」「気を付けて帰って下さいね」と 1 名に 3 分くらい掛け、サービス精神旺盛でした。
私が 3 時間くらい見ていたところ、「うしおととら」のうしお・とらと「からくりサーカス」加藤 鳴海・しろがね(エレオノール)が多かったです。
珍しいところでは、「うしおととら」白面の者・井上 真由子と「からくりサーカス」フェイスレスを希望した方が 1 名ずついました(真由子は描きながら「自分の中から真由子がいなくなっている……」と言っていて、9 割方完成したところで納得できなくなったらしく、もう 1 枚描き直していました)。
受取ったサイン色紙を抱き締めて、感動のあまり泣きながら店を出るファンも複数いたようです。
ファンと話していた内容を以下に抜粋。
- 連載中のキャラクターを希望されると嬉しい
- 「月光条例」のネタはいくらでもあり、今は「瓜子姫」を考えている
- 連載中は夜食が多くて太り、終わると痩せる
- 青年誌でも描いたが(小学館「ビッグコミックスピリッツ」で「邪眼は月輪に飛ぶ」/講談社「週刊モーニング」で「黒博物館スプリンガルド」)、やはり少年誌が好き
- 人前で絵を描くことに慣れていないので、しろがねを描くときは特に緊張する
- アマチュア時代、安彦 良和さんの北海道のサイン会に参加したことがある
「からくりの君」(1998 読切)は 2000 年に OVA が発売され、国内版 DVD は未発売ですが北米版 DVD "PUPPET PRINCESS" が発売されています(その後、「画業 20 周年記念全集 藤田和日郎魂」に付録として収録)。
サイン会の様子は、島本 和彦「吼えろペン」第 9 巻「マンガ家の腕には誇りが!」の富士鷹 ジュビロそっくりで、13 時に開始して 20 時前に終了でした(10 〜 20 分の休憩あり)。
富士鷹は「吼えろペン」シリーズの準レギュラーで、特に以下が素晴らしいので読んでみて下さい。

入手時期 | 2009 年 7 月 20 日 |
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入手経緯 | アニメイト池袋本店のサイン会 |
イラスト | 藤田 和日郎「うしおととら」オマモリサマ |
雑誌のサイン会告知を見て、アニメイト池袋本店で 8 日に「画業 20 周年記念全集 藤田和日郎魂」予約 & 整理券入手しました。
当日は 100 名の参加者を 25 名ずつ 4 組に分けて、12 時 30 分開始/19 時終了でした。
前回のサイン会は見学自由で最初から最後まで見ることもできたのですが、今回は対象の 25 名以外は会場に入ることすらできませんでした。
従って、他の部でどんなキャラクターを描いたのか分かりませんが、私が参加した第 4 部では「うしおととら」のうしお・とらが多かったです。
私は額装した前回の色紙を持参し、「去年は蘭菊姫を描いて頂いたので、今年は太郎丸(「からくりの君」で蘭菊姫が操るからくり人形)をお願いします」と一対の絵にすることを目論んでいたのですが、「太郎丸は色紙より OVA の方が良いかもしれない」と言われてしまいました。
予想外の一言に頭が真っ白になりつつ「それでも構いません」と答えようかとも思いましたが、一瞬考えてオマモリサマにしました(咄嗟の状況でも主役級キャラは挙げないひねくれ者)。
藤田さんによると、オマモリサマの希望者は非常に珍しいそうです。
蘭菊姫・オマモリサマと、和服の女性キャラになったのは偶然ですが、ザシキワラシであるオマモリサマが鷹取家を 200 年間繁栄させたように、その御真影も我が家を末永く幸せにしてくれそうで、怪我の功名に大満足しています。
ファンと話していた内容を以下に抜粋。
- 連載中のキャラクターは、肩が温まっているので描きやすい
- 「月光条例」について
- 「月光」なので、早く「かぐや姫」を描きたい
- 他に描きたいのは「孫悟空」
- 自分は「鉢かづき」が大好きなのに、一般には知名度が低いので最初にした
今回のサイン会は、「藤田 和日郎 & 椎名 高志まんが家 20 周年記念イベント」の一環なので、椎名 高志サイン原稿もご覧下さい。
2011 年 2 月 22 日(火)に、東京・有楽町のドコモスマートフォンラウンジでコミックナタリー主催のトークイベント「第 5 回コミナタ漫研〜マンガ家に聞く、同業者の気になる仕事」(入場無料)が開催されました。
- 19:00 開始/20:00 終了
- 聞き手:唐木 元(コミックナタリー編集長)
- ゲスト:藤田 和日郎
内容を以下にまとめます(敬称略)。
録音自由だったものの、ナタリー TV で見られると思って油断していたら生でしか配信されなかったため、録音された方がいらっしゃったらメールでお恵み下さいませ。
- この企画は、「あなたのマンガには興味ないから、他の好きなマンガについて語って下さい」という失礼なもの(藤田)
- 自分のマンガが一番に決まっているが、その栄養となったマンガの話も悪くない、と思った
- 読者の成れの果てがマンガ家
- 自分は、島本 和彦「吼えろペン」の富士鷹 ジュビロではない(藤田)
- 富士鷹はマンガの登場人物であることを、差引いてほしい
- マンガの主人公、特に目を見れば、そのマンガ家のことは大体分かる(藤田)
- 少年誌では、それが顕著
- 良い絵は、技術ではなく感情で描いたもの(藤田)
- 読者を揺さぶるのは、線の集合体に感情が込もっているから
- 感情過多くらいが丁度いい
- 最初に拾ってくれた編集者に、「100 伝えるには、200 描かないと駄目」と教わった
- 曽田 正人について
- 「め組の大吾」連載当時、「原稿が上がったら、疲れて動けない」と言っていた(藤田)
- 原稿に全力を尽くすのがマンガ家のあるべき姿で、完成後に飲みに行く奴は許せない
- 本人は穏やかだが、内面は激しい(藤田)
- 一筆描きに近い(藤田)
- 自分は何度もなぞり、ホワイトもたくさん使うので、原稿に重量がある
- 自分と曽田の決定的な違い(藤田)
- 自分は物語を描きたくて、読者に面白がってほしい
- 曽田は「天才の伝記を描きたくて、読者が面白がるとは限らない」と、「昴」の頃に言っていた
- 「め組の大吾」連載当時、「原稿が上がったら、疲れて動けない」と言っていた(藤田)
- 高橋 留美子について
- 電話で「新人マンガ家の描く目に魅力がない」という話になり、ここぞとばかり「いい目を描くには、どうすればいいですか?」と尋ねると、考え込んだ後で「目力のある目を一所懸命に描く」という答だった(藤田)
- 留美子の描く目には、自分や曽田の絵にはない優しさがある(藤田)
- 癖がないから、普段マンガを読まない人にも読みやすい
- 他のマンガ家は、読んでもらうための努力が大変
- 留美子とあだち 充が 30 年以上、週刊少年誌で活躍できる最大の理由
- 村枝 賢一について
- 「マンガ家を続けて色々な絵も描けるようにはなったが、1 枚の原稿に携わる時間が短くなったので、何かを落とさないように気を付けよう」と、深夜に電話で話した(藤田)
- 「何か」が、登場人物の目
- 「マンガ家を続けて色々な絵も描けるようにはなったが、1 枚の原稿に携わる時間が短くなったので、何かを落とさないように気を付けよう」と、深夜に電話で話した(藤田)
- ネームは知識や計算でも描けるが、原稿はそうはいかない(藤田)
- 登場人物が真剣でない姿も、真剣に描く
- 自分は、メタル音楽を聴きながら描く
- 皆川 亮二は、マーラーなどのクラシック
- 元アシスタントの安西 信行も、メタル
- 和月 伸宏は、無音
- 音楽はロケット発射のカタパルトみたいなもの
- 安彦 良和について
- ガンダム世代なので、大好き(藤田)
- 映画「クラッシャージョウ」(1983) の旭川の舞台挨拶に行き、質疑応答コーナーで「どこから描きますか?」と聞いたら、「眉と目から描く。目線が決まれば体の向きも決まるから」との答で、我が意を得たりだった(藤田)
- 一緒に行った友人が録音していたので、何度も聞き返した
- 目から描き始めれば、失敗したときのやり直しも楽
- 吉田 聡について
- 飲み屋で会ったときに「湘南爆走族」が好きだと伝えたら、「マンガ家は、木の舟で星を目指していて、やがてどこかに辿り着いて町を作る。自分には、萩尾 望都が星だった」と言っていた(藤田)
- 高橋 葉介について
- 自分にとって、マンガの星が留美子や吉田で、絵の星が葉介(藤田)
- 会うまで死ねない、と思っていたが、一昨年会ってしまった(藤田)
- 河合 克敏について
- 「絵に感情を込めることが重要」と話してきたが、例外の代表(藤田)
- クールな顔で理論武装しており、絵への集中力は凄い(藤田)
- 小畑 健について
- もう 1 人の例外(藤田)
- 仕事場に遊びに来たときに「好きなマンガ家やイラストレーターは?」と聞くと、悩んだ末に「藤子 不二雄」と答えた(藤田)
- 週刊連載 1 本に、1 週間以上掛ける
- 本人は謙虚だが原稿にはこだわり、バイクで出掛けようとヘルメットを持って玄関まで行っても原稿が気になり部屋に戻るらしい
2012 年 1 月 29 日(日)に、東京・新宿のロフトプラスワンで多田 克己 Presents「ARS MAGNA vol.2 生命と魂のはざまに」が開催されました。
- 11:30 開場/12:00 開演
- 出演:多田 克己(妖怪研究家)/藤田 和日郎(漫画家)/三上 丈晴(「月刊ムー」編集長)/皆神 龍太郎(超常現象ウォッチャー)/川口 友万(実験屋ライター)/板矢 剛一(経済ライター)/カーター卿
チケットは 1 オーダー別で、前売 2200 円/当日 2900 円(全席自由)でした。
- 板矢とカーターの対談
- 皆神と三上の対談
- 多田と藤田の対談
- 川口の実験
第 3 部の内容を以下にまとめます(敬称略)。
- 錬金術を描いたマンガ家なら、「鋼の錬金術師」の荒川 弘を呼ぶべきではないか(藤田)
- 自分が「からくりサーカス」を描いたのは、少し前
- 小学館の忘年会で、荒川と「錬金術は難しい」と話した
- 錬金術の本も読んだが、よく分からない
- ヨーロッパの神話の知識も必要
- ネタを 0 から考えるよりも、錬金術のように既にあるものを利用した方が効率が良い(藤田)
- デビュー前の投稿作品「帯刀石仏」(文庫版「暁の歌」所収)も、錬金術を扱っている(藤田)
- 「処女作には作家の全てがある」と言われるが、正にその通り
- 大学 2 年生の頃の作品
- 上野の国立科学博物館まで片道 25 分くらいだったので、小学生の頃は月に 1 度は通っていた(多田)
- 「からくりサーカス」は少年マンガなので、子供でも想像できるように「柔らかい石」とした(藤田)
- 「賢者の石」だと分からない
- 「ドラえもん」(藤子・F・不二雄)の「水をつかめる手袋」(「ドラえもん カラー作品集」第 5 巻所収)も面白かった
- 小学館にマンガの持込みをしていた時期があり、担当編集者が武者 正昭で藤田と同じだったので紹介された(多田)
- 「うしおととら」のゴーレムは、額の「emeth 真理」の e を削ると「meth 死」になって土に戻る(藤田)
- 「怪物の解剖学」(種村 季弘)で紹介されていた
- 「本来は、アルファベットではなくヘブライ語でなければならない」と後に指摘されたが、そこまでは書かれていなかった
- 「怪物の解剖学」(種村 季弘)で紹介されていた
- アシスタントには、「伏線を 1 つ張ったら、回収に単行本 3 冊掛かる」と言っている(藤田)